かなり以前のこと、雪深い冬季(小生の田舎・米沢市)になると外で行う仕事もなくなり、ワラ(藁)を使って行う仕事がほとんどでした。 例えば、ぞうり(草履)や雪中を歩く深クツなど。 さらに米を入れるカマス(袋)や背中に背負うミノ、また敷物や布団、またごはん鍋を保温する入れ物などにも使われる。 変わったものでは納豆を作るときの入れ物など、本当に多方面にワラが使われていた。 さらに雪道を歩くときの馬用のはきものにワラを使っていた。 そのようなことから「藁という文字は木よりも高い草」と書くと教えられたような気がする。 それほど重宝していたということになります。
本題の草履の話ですが、
写真は福山市松永はきもの資料館(2006年)において開催されたぞうり作りの光景で、ワクワクしながら参加しました。 ぞうり作りの冒頭で「今回のようなぞうり作りは今回が最後になるかもしれない」と言われました。 その訳はワラが手に入りにくくなったことを上げられました。
一瞬でわかりますが、ぞうり作りには両手両足が同時に使われていることに目がいきます。 両手両足は大阪で見学したオケ(桶)作りでも器用に使われ感心したものです。 また最近まで布を縫うミシンも両手両足が使われていました。
ぞうり作りには、ナワ(縄)を編むことから始まり、どうしてナワは元に戻らず解けないのか?と改めて思ったものでした。 子どもの頃は親父のナワない(綯い)を見ていたがそのような疑問は全く起こらなかった。
教えられた通りやっとの想いで片方を作りあげ、できたものを左右並べるとまったくアンバランスで、両手両足が使われていることも忘れていた。 それほど心に余裕はなくできあがったのが下記のぞうりです。
ワラぞうりは左右の区別はない。 このことに気づいたのはぞうりができ上がったときでした。 それは最初から鼻緒になるナワを中央にしつけて始まるからです。 靴のことですが、左右区別がない履き物(靴)は大昔にあったようです。 しかし着用者はかなり苦労したとある。 その点ぞうりは鼻緒が中心にあっても何も困らず、内側外側のバランスがとれる。 子どもの頃、夜中にトイレに行くときなどとても重宝したものです。
最近は機械化によって足と手を同時に使う光景がなくなったのはとても残念なことです。 そこでストレッチなどに足先と手先を同時に動かしてみる、そうすると不思議なことに足先も動きやすくなるから不思議です。 このようなことに気がついたのは最近のことで実施するまでに長い時間を要してしまいました。
そのきっかけになったのがぞうり作りでした。
シューフィッター 大木金次
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