2018年02月05日

銅像からみえてくること

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写真の銅像は小学校の校庭に建っているものですが、ちょっと残念なことがあります。 
それは足がみえないことです。


かつて「靴を考える会」において整形医から日本の掛け軸には足のない姿が多いと教授を受けたことがある。 関連して医師は、大学の足の解剖学で時間が足りなく満足な講義が受けられなかったと語り、日本人は昔から足と履きものを重視していなかったのでは?と付け加えていた。

医師の話を伺ってから銅像などに関心を持つようになったが、やはり指摘の通りである。 
畳部屋などで、今もって家族以外の所では足を出しっぱなしで座ることは少ない。 そのような気遣いを見ることが多い。

 
最近学校の指定靴について少しづつ論じられる機会が増えている。 しかしその進捗は決して早いものではないようだ。 議論が進まない遠因を考える時、私はこの銅像を想い出すのです。 毎日通学する生徒に足のない銅像が見えるのでは足と靴に関心が高まることは期待できにくい。 
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自宅では素足で過ごすことの多い日本。 通学の間痛くなっても家で靴を脱ぎ素足になれば足は解放され翌朝には前日の痛みを忘れてしまうことが多い。 つまり靴による痛みも一過性に終わってしまう。 そのようなことから親も無関心になりやすい。
  
足の研究だけに身をささげた平沢彌一郎氏という先生がいる。  先生が出産後、自分の子どもの足形を採ろうとしたとき、隣の産婆さんから断られたとある〔著書「足の裏は語る ちくま文庫」から〕 このような例は足の研究の難しさを説いているのです。  
「手の日本人、足の西欧人 徳間書房」という書籍を読むと足より手を重視する日本人が多いことが読み取れる。 このような数々の例をみると、足に特化した研究者は出にくく、足や靴を深く掘り下げる先生や靴屋さんは今でも非常に少ない。

足に対するマイナスイメージの根強い文化日本の中で、足と靴に関心を高くするには、何と言ってもすべての小学校で足の計測を始めること、そして靴のフィッティングを教えることです。 
時間がかかるものの、その結果足や靴の研究者も増えていくことでしょう。 


足の上に身体があると言われている中、足のない銅像に気がつく人が多くなることを期待します。 
シューフィッター 【大木 金次】  

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2018年02月01日

悪魔のトリセツ No.88 パンプスを履くときこゆびがイタイ理由

前回は、足と靴を繋ぐ大切な部分、「かかと」について書きました。
パンプスを履くとき、かかとが靴のかかとに密着していると、靴に身体の動く意思が伝わってコントロールが利き、とても歩きやすくなるのは、紐靴と同じです。

さてパンプスを履くにあたり、決して忘れてはいけないことがあります。それは、「お洒落の気合い」を入れる時の履き物であることです。
決して無理をして痛みに耐えると言う意味ではありませんが、靴先のコルセットを付けて爪先の形を整える履き物です。
主にカウンター(かかと付近)や靴の底の形状、ボール部(甲の骨の先端部分が収まる、パンプスの後ろ半分の坂道の一番低い部分)で足に靴を留めていますが、こゆびの付近も使って、足のかかとが靴のかかとから離れないように支える働きもしています。
なるべくこゆび周りは動けるようにしておく方が身体を支える上で良いのですが、それではパンプスを着ける意味がありません。トウキャップ(先芯)で爪先を傷める事が無いよう、親趾ではなく、こゆびを使って靴を足に留めています。だから、こゆびの収まる部分には芯が抜いてあります。

爪先の形は、アッパーだけではなく、底のアウトラインでも整えられています。
爪先の底のアウトラインが、靴先の形を決めています。先芯で理想の形を保持しながら、こゆびの収まるアッパー部分は革がもっちりと伸縮して、こゆびが多少働けるゆとりが出来るようになっています。

履き馴染むにつれて、こゆびの部分は革が伸びて安定し、痛みは減ります。しかし、足運びによっていつまでも痛みは取れない場合もあります。
脚を振り出すとき、外また過ぎたり、内股になっていると、着地の度に、こゆびが靴の内側に強く押し付けられるからです。
歩く様子の事を、「歩容」(ほよう)と言います。歩く容姿とも言えます。
足と靴の相性だけでなく、歩容の具合いでも、こゆびは負担を強いられるのです。

シューフィッターとして、足に相性の良い靴をコーディネイトしたり、靴にパッキング(靴の中にパットなどを入れるカスタマイズ)することや、ポイントストレッチャーで早く足に革を馴染ませるお手伝いをして痛みを軽減させたいのですが、限界があります。
特に、労働で同じ靴を長時間履くということが、パンプスの役目とかけ離れていると言うことを、早く社会に理解してもらえる日を夢見ています。

上級シューフィッター /ウォーキングマスター/レザーソムリエ 永田聖子
posted by kemix4 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月28日

防滑シューズについて

昨年は関東ではほとんど雪は積もらなかったのですが、今年は1月22日夜にかなりの積雪が関東でもありました。僕の住んでいる神奈川県でも昼過ぎから降り始め、深夜には20センチ近い積雪になりました。電車は遅れるは、足元は滑るは、で大変でした。雪の多い地方にお住まいの方からすると、何甘いことを言っているんだ!ということでしょうがやはり関東人は雪に弱いです。

前日から大雪の予報が出ていたため、売り場でも防滑シューズが前日と当日飛ぶように売れました。その時、よく質問されたのが防滑の種類です。防滑といっても、雨の時、雪の時、氷(アイスバーン)の時、と対応が分かれます。今回は簡単に違いをお話しします。
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ゴム底やギザギザがあるだけの単純なタイプは雨の時の路面に対応します。対応というのは滑りにくい、という意味です。もちろん絶対はありませんのでそこはご了解ください。

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雪の路面に対応している代表が、金具がついているタイプです。またクルミが配合されているもの、などがあります。

気をつけなくてはならないのが、このタイプは雪道には強いが氷の道には対応していないということです。何と言っても氷の道が一番滑るのです。(クルミタイプは氷道にも対応しているものがあります)
これに対応するものとして代表的なものは、スタッドレスです。タイヤでおなじみですね。溝が深いものがスタッドレス、という思い込みがあるようですが今はいろいろな種類のものが出ていますので、溝が深くないから違う、という見方は変えてくださいね。
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上の写真は溝が深い典型的なスタッドレスです。
下の写真は溝が浅く一見わかりませんが、これもスタッドレスです。
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そのほかに氷道対応としては、セラミック配合、ケイ砂配合、などがあります。
しかし見ただけでは判別することは難しいですので、ぜひ販売員に聞いてください。お店にとってはどのタイプかわかるようなマークをつけているところもあります。ちなみにそごう横浜店では、雨対応は青色、雪対応は黄色、氷対応は赤色のシールをプライスに貼ってあります。
もちろん氷対応だからといって油断していると足をすくわれますよ。氷道にはしっかりと足裏全体で踏みしめて歩幅を狭くして歩きましょう。まだ今年は何度か雪が積もりそうですしね。

   上級シューフィッター   林 美樹
posted by ミッキー at 03:00| Comment(0) | 構造 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする