先月で長年勤めてきた会社を退職したのですが、やはり最後つらかったのは長年の付き合いをさせていただいたお客さまとの別れです。もちろんこれからも靴関係の仕事に携わる予定ですので全く縁が切れるわけではないですが、やはり売場あってのシューフィッターですのでもうお会いすることがない方もいらっしゃると思います。
38年間の会社生活でなんと1度も売場から離れたことがなく、また35年を靴関係の職場にいたというのは奇跡かもしれません。
その中で特に記憶に残ったお客様の例を二つ挙げてみたいと思います。
まず一つは、70代の女性のお客さまです。膝が痛いということで靴選びに来られました。病院で検査しても特に問題が見つからないとの事。でも歩くと膝が痛いそうです。履いている靴は紐のスニーカー。問題はないはずです。
ところがその方は靴を試着する時履いている紐スニーカーを紐を解かずにすぽっと脱いだのです。このブログでも多く取り上げられている紐を締めずに靴を履くことによるトラブルの1例です。靴を新しく購入してもらい、紐をしっかり締める重要さをお話ししました。
2か月後再来店されたのですが、なんと膝が痛くないとの事。何か新しい治療をされたのかと思いましたが、ただしっかり紐を締めることを毎回行っただけというのです。エビデンスはありませんが、きっと緩い靴を履き歩くことによって膝に負担が来たのでしょう。靴と健康は直結している例としてよく覚えています。
もう一つは30代の女性のお客さまです。パンプスが履きたいけど痛くて履けない、だからいつもスニーカー。そのため可愛い服が着られない、スカートが履けない、いつもパンツ。と嘆いていました。特に問題のある足ではないので、3センチ程度のヒールのパンプスを選んで差し上げたら「痛くない!」と大喜びでお帰りになりました。
驚いたのは2か月後の再来店時です。予約でお越しなのでお名前もわかっていたのですが見違えました!同じ方に見えませんでした。ワンピースを着て化粧も髪型も違う。でも一番違ったのは表情でした。輝いていました。本人曰く「このパンプスのおかげで着たかった服も着られて、外出が楽しくなった」との事。そして最後にこう言われたのです。「人生変わりました」
靴には人の人生を変える力がある!と痛感した瞬間でした。
このような多くのお客さまと経験をすることができて本当に幸せだったと思います。これからも多くの方を笑顔にしていける仕事ができたら、と感じています。
最上級(マスター)シューフィッター&健康ウオーキング指導士 林 美樹
2024年05月25日
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