シューフィッターとして接客をしていて最近気になることがあります。それは足のアーチがなくなっている方が多くなっているということです。足のアーチは人間の足の特徴といえます、つまり二本足歩行のために欠かすことができないものなのです。
地面の凸凹に対応したり、ばねの役割を果たし前に進む力を補強する役割を持っているのです。
足のアーチは縦のアーチと横のアーチがあります。多くの方が足のアーチと言われて思い浮かべるのは土踏まずですよね。これは内側縦アーチといいます。縦アーチは外側にも小さいですが存在します。この縦アーチが消失した状態が偏平足です。
実は僕が気になっているのはこの縦アーチではなく横アーチのほうです。縦アーチは意外に多くの方がしっかり持っていますが、横アーチは多くの方がなくなっていると感じます。特にシューフィッターに頼まなくては履きやすい靴が選べない状態の方はほぼ横アーチがない、といってよいかもしれません。
大高 成氏著 「足と靴とその世界」より
上の図で黒の線で示しているのが足のアーチです。横アーチというのは一般的に親指の付け根と小指の付け根を結んだ線にあるといわれています。非荷重(座った状態)の状態のときにこの部分が少し膨らんでほしいのです。
ただ多くの方がこの部分が落ち込んでいます。すると靴を履いて歩いた時にどうしても靴の中で足が前に滑ってしまいがちになるのです。そのため足の指が靴の前に当たって痛くなったり、かかとが緩くなり靴擦れができたりします。
どうして横アーチが落ちてしまうのかは諸説ありはっきりとはわかっていないようです。成長期での正しい靴選びや、正しい歩き方をすることが横アーチの形成には役立つといわれています。
横アーチを作るストレッチ体操もありますが、僕の経験ではそのストレッチで横アーチができるというのはなかなか難しいようです。
少しややこしい話なのですが、この横アーチは本来上の図の赤い線で示している場所である、という話もあります。アーチというのは隙間がない状態のことを指すというのが本当のようなのです。すると親指と小指を結んだ線は骨が離れていて本来のアーチの定義から離れてしまいます。
赤い線の部分は骨が隙間なく並んでいる場所なのでここが本来の横アーチの場所である、と最近ではシューフィッターの教科書にも載るようになってきました。この部分が崩れている方は僕の経験ではそれほど多くないようです。
上の写真は長崎の有名な眼鏡橋です。石が隙間なく並んでいてアーチを形成していますね。
どちらにせよ歩行には重要な役割を負う足のアーチ、皆さんも時々足の裏を見て確認してみたらいかがでしょうか。自分の足をじっくり見る良い機会かもしれませんよ(^^
最上級シューフィッター&健康ウオーキング指導士 林 美樹
2023年04月25日
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