今回は先日開催されたシューフィッター補習講座の中で見せてくれた靴職人の技について取り上げます。
今回の講座のタイトルは「靴職人が語るオーダーシューズの世界」
今ではほとんど見れなくなった手縫い靴を手掛けている浅草の靴職人「橋本公宏」さんがその技術を披露してくれました。
橋本さんは 最後の靴職人 と言われた伝説の靴職人「関 信義」さんのお弟子さんで、浅草にある工房でオーダーシューズ(主に紳士靴)を長年作り続けています。
見せていただいた技術は二つ
一つはつり込みと言って靴のアッパーの革を中底に張り付ける技術です。今は機械で行うことがほとんどですが、釘を使ってしっかり止めていくのが本来の手法です。僕も手縫い靴を作成したことがあるのですが、一番難しかったのがこのつり込みです。
アッパーの革を引っ張る力加減が本当に難しいです。橋本さんはわざと我々にわかるようにゆっくり行っていたのですがそれでも早い早い!

この写真は橋本さんではありません。つり込みのイメージをお伝えする写真です。

もう一つはグットイヤーウエルト製法の中の一つの工程である「すくい縫い」という手法です。糸をリブといわれる中底の部分に通す技術ですが見事な手さばきでした。(写真がなくて済みません(>_<))
あと面白かったのはイージーオーダーの靴づくりの時のテクニックの一つである「載せ甲」です。イージーオーダーは元からある木型の中からお客様の足型に近いものを選び出して作成します。ただそれだと細かいところが合わないときがあります。
たとえば小指が当たりやすい足の場合、その部分に革を貼り付けて少しこの部分を膨らませます。それによって小指周辺が当たりにくくなります。
黒い部分が革を貼って膨らませた場所です。革の厚さは1mmから10mmくらいまで貼ることができるようです。勉強になりました。
工場見学に行ってもなかなかここまで見れないしまた質問にも答えてくれません。今回は足を守る靴、の秘密を垣間見た感じでした。
また靴を作成したくなりました(ただ一度作っているのでわかりますが、かなり大変な作業です(^^ゞ)
上級シューフィッター&健康ウオーキング指導士 林 美樹