2018年06月01日

悪魔のトリセツ No.92 ピッタリの靴なんてありえない!?

「ピッタリの靴」「足に合う靴」と、頻繁に耳にします。
しかし、そもそも、足に合う靴も、ピッタリの靴も、存在し得ないのです。
あえて言うなら、「そこそこ、合う靴」でしょうか。

足はいつも、変化しています。
体重が掛かっているときと無荷重の時では、大きく変化します。バイオリズムや、気温や、環境などの影響もあります。元々、左右の大きさや形も異なります。
それに、人の感覚はさまざまです
現在使っている履物の付け心地、使い勝手等にも大きく影響を受けます。
私たちシューフィッターが客観的に見て「ピッタリ」と思っても、使う本人には苦痛に感じる場合があります。
また、両者が「ピッタリ」と思えても、使い道を間違えば、それでは「ピッタリ」が成立しません。間違った靴選びになります。

しかも、日本の靴のサイズには、靴の中身の長さの表示をしていません。表示は、「足入れサイズ」です。その靴の内径表示ではないのです。
例えば、「25」と書いてあると、靴の中の長さは、26センチ以上必要です。踵が靴のカウンターにピッタリ合わせた状態の時、爪先に「捨て寸」が必要だからです。足長248ミリから252ミリの時、歩いても爪先の「ヘルメット」である先芯におやゆびやひとさしゆびをぶつけないで、安全に歩ける長さです。ただし、用途により、この限りではありません。特に爪先のデザインやその靴の使い道に因って、捨て寸の長さは変わります。
そして、靴の中で足が留まる位置は、様々な条件に応じて変わります。身体の条件、例えば甲の厚み、アーチの高さ、足趾の大きさや、その張り出しの向きなどに左右されます。更に靴の条件、例えばカウンター芯の軟らかさ、先芯の面積、アッパー素材の硬さや柔軟性、中敷きやミッドソールの荷重されたときの沈み方、ヒールの高さ等々、組合せは数限りなくあります。

今回は、シューフィッターにとっても、そうでなくても、少々刺激的なタイトルにしました。
私は、靴選びの選択を狭めるのではなく、拡げたいのです。

ひとつの正解を求めず、自分なりの正解を何通りも作っておく事をおすすめします。

上級シューフィッター /ウォーキングマスター/レザーソムリエ 永田聖子

posted by kemix4 at 00:00| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして、突然のコメントですみません。ぴったりの靴は存在しないのか?・・・悩ましい問題ですね。サイズに関してちょっと気になったので書かせていただきました。靴は工業製品であっても電化製品や様々な身近にあるハードな製品と異なり規格寸法通りに仕上げられるものではありません。衣料品と同じようにサイズを理解していただけると良いように思います。コメントの中に[しかも、日本の靴のサイズには、靴の中身の長さの表示をしていません。表示は、「足入れサイズ」です。その靴の内径表示ではないのです。]と記されています。体に合わせる衣料品、靴、手袋、帽子すべて身につけるもののサイズは着用する体を基準にその人のサイズに合った大きさを製品のサイズとしています。ヌードサイズという概念です。あなたが購入するスカートのウエストはあなたのウエストに、ヒップはあなたが動きやすいヒップの大きさに型紙が着られています。あなたの体のサイズに対してウエストはわずかに細く、ヒップは大きく設定され、あなたのスカートサイズが出来ている、靴のサイズも同様です。欧米の靴、あるいは国内でも専門スポーツシューズはラストサイズです。サイズ表記は仕上がり寸法であり一見合理的なように見えるかもしれませんがトウの形状の違いによって同じ足長であっても履ける足のサイズは異なってしまいます。ISO国際標準規格におけるモンドポイント・靴のサイズも足入れサイズを採用しています。一つの見方としてご参考にしていただければと思います。
Posted by 大 成 at 2018年06月03日 16:57
大 成 様、
「悪魔のトリセツ」の、永田聖子です。 「悪魔のトリセツ No.92 ピッタリの靴なんてありえない!?」へ、コメントを頂きまして、ありがとうございます✨
ご精読下さったのがよくわかり、大変嬉しいです。
更に、御コメントを拝読して、ちょっと思い付いたことがありました。ヒントを頂きまして、ありがとうございます。

それから、いつもそうなのですが、言葉足らずで、上手くお伝えするには、まだまだ勉強しなくてはなりません。
これからも、どうか、ご指導をよろしくお願い申し上げます✨

さて、 「しかも、日本の靴のサイズには、靴の中身の長さの表示をしていません。表示は、「足入れサイズ」です。その靴の内径表示ではないのです。」の件ですが、靴を勉強する前の私も含めて、多くの人は、「捨て寸」を意識されていないので、そのように書きました。

たとえば、洋裁をなさる方は、お洋服の裏地の大きさが、表地とぴったり同じではなく、「キセ」などを用いて、少し余裕を持たせてあるのを知っています。身体の動きの余裕を持たせるためです。なのに、靴に関しては、そのようなことを意識されていないようです。
また、足囲の「ころし」についても
お洋服を、ウエストの計測値よりやや絞めて作る事と、少し似ているように思います。

なお、国際基準でも、足入れサイズの表示であると、過日、ご教示を頂きました。しかし、木型サイズ表示にしているメーカーもあります。
それから、単に足長だけでは、第3・第4趾の余裕がわかりません。前後のサイズを比べたり、トウのラインを変えたりしています。それでも、消費者には足入れサイズで表示する方が、安全なフィッティングで選べるように思います。

それから、ここからが思い付いたことなのですが、例えば男性がスーツを選ぶときの表示基準には、胸囲と胴囲の差を表す「A」「Y」「B」などがあります。ところが、靴にはこのような表示がありません。
私は、足と靴にも、踵幅、インステップガース、足囲の差を表す基準ができたら、もっと靴を選びやすくなるかもしれないと思い付きました。パンプスは、開口部が大きすぎて、難しいかもしれません。しかし、パンプスにこそ、そのような表示基準が必要だと思いました。

まだまだ言葉が足りず、不器用な文章で、お読みになりくいかも知れませんが、これからも、思索と研鑽を重ねて行きたいとおもいますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
永田聖子

Posted by 永田聖子 at 2018年06月05日 21:55
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