靴選びに入る前に足の計測や触診をしていると、来店した方はいろいろな話をしてくれるが、中には「靴の販売は何年ぐらいやっているの?」と聞かれることは非常に多い。 また「いいお仕事ですね」と言われたこともある。
ところがシューフィッティングをごらんになり「一度靴の講演をして頂けませんか?」と切り出したお客様がいた。 よく伺うと、その方は社会福祉協議会の役員をしているお客様でしたが、そのようなことが二度あったのです。 二人目の方はケアセンターを運営されている方でした。
どうして私のような靴の販売員に講演などというむずかしい話を依頼されるのでか? と聞いたところ、靴を履かせる手つきに何ともいえない優しさを感じたという。 不思議なことに二人目の方も同じ理由でしたが、足や靴に対して知らないことが余りにも多いことに気がつきましたとも言われた。 「シューフィッターという仕事が世の中にあるんですね!」と感激をしていました。
その後社会福祉協議会に講演に伺ったところ大変大きなレジュメと骨格図(縦2 mほど)を壇上に掲示してくれていた。 遠くの方からも見やすいよう配慮されたものでした。 準備に積極的に関わってくれたことに感謝をしましたが、人への配慮に限度がないことを通説に感じたものです。 またケアーセンターのほうに伺ったら20 才代の若者が沢山おりケア研修生でした。 そこでは靴の履かせ方という実践を中心に話をしましたが、研修生の目つきは男女問わず生き生きとした顔つきで何でも吸収しようという雰囲気を感じたものです。
研修生は「高齢者に靴を履かせることは意外に難しい」と語っていた。 確かに足関節が不自由になると靴を履くのも履かせるのも大変です。
派手な仕事ではないシューフィッターという仕事に目を向けて頂いたことは大変うれしい。 またシューフィッティング中に講演の依頼を受けたことに大変感激したことを記憶しています。 シューフィッティングに仕事冥利を覚えます。
シューフィッターのサービスが少しずつ認知されていくような気がしていますが、日本にも先進的な靴社会が到来することを願っているものです。
シューフィッター【大木 金次】
2012年10月25日
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