2024年11月01日

悪魔のトリセツ No.169 気持ちよく靴ひもを結ぶために

ちかごろ道行く人の足元は、スニーカーが圧倒的に多いように見えます。
スカートにスニーカーを合わせても自然な感じになり、おしゃれが身体に負担をかけないようになって良かったと思います。

ところが、靴ひもを緩めに留めて、踵を余らせて歩いていて、せっかく爪先ゆったりの、趾を開いたり握ったりできるスニーカーなのに、靴先の方に足が詰まってしまって、かえって趾を窮屈にしています。

靴ひもを結んだまま着脱できる、
「脱ぐためのフィッティング」のまま、歩いている人がとても多いのです。

それは、歩くことよりも着脱を優先するフィッティングです。
家に帰れば靴を脱ぐ私たちには必要なフィッティングだとも言えます。

さて、その人たちの靴をよく見ると、踵周りにガクガクとしたシワが入っています。
それは、靴に足を入れる時、靴の踵を踏んだ跡ではないでしょうか。
これは無理もないことだと思います。
靴を脱がない地方で発達した文化を、靴を脱ぐ地方の文化にそのまま取り入れるには無理があります。

靴はとても優れた履き物です。
巧く使えば、足を汚したり怪我をしたりせずに、素足で歩くときにのように自由に身体を使うことができます。
それを知ったとき、気持ちよく靴の紐を締めることができるようになりますよ。

お近くにシューフィッターの居るお店があれば、靴を買うときに、上手に靴を使う方法を尋ねて下さいね。


上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ ・ヨガインストラクター
   永田 聖子
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2024年11月05日

大事なこゆび(足の第五趾)の働き

話の主役は「こゆび」です。 靴の中でがんばっている割合に語られることが少ないのは残念。 その要因はトウ(靴のつまさき部分)で隠れておりこゆびの働きが見えにくいからでしょう。 
こゆびへの関心の少なさは次のようなことでわかります・・つま先の幅に対して細すぎるトウを好んで購入するという現実です。 こゆびの働きに関心を持つことで、軽快に歩けると同時に歩幅も広がることを知っていただきたい。 

健康 2.jpg

ぞうきんをタテ絞りすると「こゆび」に力がよく入る、反対にヨコ絞りをすると力が入りにくい。
手と足の機能は似ていると言われているが、足の機能は見えにくいため、足にかわって手の仕事ぶりを記してみました。
皆さんもすでに経験済みのことですが、ぞうきんをタテに持って絞るとよく絞り切れます(写真) その反対に横に持って絞ると意外に絞り切れません。 この違いはこゆびの働きにあり、タテに持つとこゆびに力が入ることで、すべてのゆびに力がよく入ります。 ぞうきんをタテからヨコに持ち換えると、こゆびは浮いたままですべてのゆびがあまり働かない・・つまり力が入りにくい。 
このような簡単な事例で、こゆびの働きに違いが出ることに注目願いたい。

そこで狭い靴のトウの話になりますが、狭いトウでつま先がせめられると居場所がないため浮いてきます。 そのようなことは、中敷きを外してみるとこゆびの跡が少ない。 またフットプリントをとると、こゆびの跡が見当たらないということが往々にしてあります。
こゆびが浮くという事例は雑巾のヨコ絞りに似ており、力が入りにくいことを示します。

こゆびに力が入りにくいと静かな歩調になりやすい。 力はこゆびから始まると言ってもいいようです。
フィッテングでもっとも重要なことはこゆびが活躍できることです。

雑巾絞りの話の発端は、夏場に雑巾を洗って一晩つるしておいても乾燥しなかったことです。 そこで絞った担当者に絞り方を聞いたところヨコ絞りをしていたのです。 雑巾を絞る時代は終わったようですが、手つきからみえる足のこゆびの力、それはわずかなことですがとても大事なことです。

シューフィッター 大木金次
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2024年11月10日

高齢者の足と靴 靴の寿命

靴の寿命はどれくらいでしょうか?

突然の質問ですが、少し考えてみてください。
時折、20年前に購入された靴のメンテナンスをお持ち込みいただくことがあります。
その方は多くの靴を所有しており、長年大切にされてきたので綺麗な状態です。
しかし、やはり底は減り、アッパーも古びて、少し頼りない印象を受けます。

確かに、メンテナンスをすればその靴を履き続けることはできるかもしれません。
でも、足自体の変化について考えたことはありますか?
加齢に伴い、足の形や状態も変わりますが、その変化に今の靴が本当に適していると言えるでしょうか?

若い頃は、ビュッフェでたくさんの料理を楽しんだり、徹夜明けでも少し休めば元気を取り戻せました。
気づけば、少量でも美味しいものをゆっくり味わい、早寝早起きの規則正しい生活が心地よく感じられるようになっています。

靴が「履ける」状態であっても、靴のメンテナンスだけでは十分とは言えません。
足と靴が良い関係であることが大切です。
この二つがうまく調和すると、快適に過ごせます。
片方だけに意識を向けると、うまくいかないこともあるでしょう。

体には足や手、耳や目といった「対」のパーツがたくさんあります。(他にもいろいろありますが…)
このバランスはとても大切です。
痛めた足ばかりを気にすると、健康な足にも負担がかかってしまいます。

自分の体全体を見渡すように、足を観察する時間を持ちましょう。
体を支える要である足から順に、脚、そして少しずつ上へと視線を移していきます。

そして、若い頃以上に、今の自分に合った良い靴を見つけ、履く努力をしてみましょう。
早めの買い替えも、快適さを保つためには大切ですね。

上級シューフィッター  池川成子

posted by k-burogu at 06:13| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする