人の身体は左右非対称で、足にも左右差があります。それを実感している方は多いのでは、と思います。
例えば片方の足だけ外反母趾だったり、片方の趾(あしゆび)だけスッキリ伸びていたり、左右でも胼胝のできる場所が違ったりします。
生活習慣や、怪我の影響、靴や靴下などのフットギアの選び方など、足は様々な経験を経て変わっていきます。
特に左右差が大きくなるのは、前足部(ぜんそくぶ)ではないでしょうか。
足の中ほどには小さな楔(くさび)状の骨や筋肉があって、それを境に、後ろ半分はガッチリと固く、主に大きい骨や靭帯でできています。
前半分は柔軟で、細い骨や細かい筋肉がたくさんはいっています。
ところで、一般的な既製靴は、左右対称に作られています。
靴の踵回りは固い芯が入れてあり、靴べらを使ってなるべく型崩れしないように使います。
前方は柔らかく伸縮性を持たせてあります。
前足部に合わせて、靴は形を変えていって、いずれその人だけの特別な一足になるように設計されているのです。
だから、急がないでほしいのです。
何度か着けたり脱いだりするうちに、身体の温もりも相まって、靴は足のかたちに馴染んで行きます。
どれくらい歩いたら、またはどんな季節にどんな靴下を合わせたらどうなるか、など、環境によって靴も足も変わることも、実感されていると思います。
それらの情報をだいたい把握しておくと、お出かけの靴選びを間違うことが少なくなるはずです。
上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ ・ヨガインストラクター
永田 聖子