2024年07月01日

悪魔のトリセツ No.165

人の身体は左右非対称で、足にも左右差があります。それを実感している方は多いのでは、と思います。

例えば片方の足だけ外反母趾だったり、片方の趾(あしゆび)だけスッキリ伸びていたり、左右でも胼胝のできる場所が違ったりします。
生活習慣や、怪我の影響、靴や靴下などのフットギアの選び方など、足は様々な経験を経て変わっていきます。

特に左右差が大きくなるのは、前足部(ぜんそくぶ)ではないでしょうか。
足の中ほどには小さな楔(くさび)状の骨や筋肉があって、それを境に、後ろ半分はガッチリと固く、主に大きい骨や靭帯でできています。
前半分は柔軟で、細い骨や細かい筋肉がたくさんはいっています。

ところで、一般的な既製靴は、左右対称に作られています。
靴の踵回りは固い芯が入れてあり、靴べらを使ってなるべく型崩れしないように使います。
前方は柔らかく伸縮性を持たせてあります。
前足部に合わせて、靴は形を変えていって、いずれその人だけの特別な一足になるように設計されているのです。 

だから、急がないでほしいのです。
何度か着けたり脱いだりするうちに、身体の温もりも相まって、靴は足のかたちに馴染んで行きます。
どれくらい歩いたら、またはどんな季節にどんな靴下を合わせたらどうなるか、など、環境によって靴も足も変わることも、実感されていると思います。
それらの情報をだいたい把握しておくと、お出かけの靴選びを間違うことが少なくなるはずです。

上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ ・ヨガインストラクター
   永田 聖子
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2024年07月05日

はきものを揃える

ずいぶん以前から『はきものを揃えると心もそろう』という教えがあるが、小生は靴という仕事上はきものが整然と並んだお宅に伺うとネクタイを締めなおしたものです。 それほど玄関は緊張する瞬間で、今も通じるような気がしてならない。

脱いだはきものは、習慣にしないと自分で揃えることはなかなかできないもので、時には面倒に感じるものです。

写真は子どもがテントに入っているところ・・・ここは小さなショッピングセンターのような所でアウトドアショップの店頭。 数本のテントが並び写真二枚とも同じ店です。 
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今回のタイトルは「はきものを揃える」、二枚を比較すると歴然と違いが見える。 常日頃から習慣になっているのか二枚目の写真に何ともほのぼのとしたものが見える。 子どもの背中やしぐさから、この家庭にはおばあちゃんがいるように思える?  
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自宅に来客があった時、おばあちゃんは膝をついてお客様のはきものを直していたのではないでしょうか。 子どもはいつの間にかマネをしてしまう。 その結果、今回のような場面でも自然とはきものを揃えてしまうのでしょう。
子どもが直していると「しつけ」ということばが出るようですが、その響きにはなぜか強制じみた悲しさが伝わってくる。 そんなことは小生だけではないと思われますが、しかし見よう見まねとなると話は別になる。 

子どもに「やってみせ、言って聞かせて・・・」ということばがありますが、子どもは知らず知らずのうちによく見ているものです。 そしてそのしぐさまで似てくる。

足もとのはきものを管理?することはなかなか面倒なもの。 家庭で靴を脱ぐという文化は日本だけではないが、そこに相手をうやまう心や気遣い、さらにはきものを大事に取り扱うという国は、日本が突出しているように思える。 
ショッピング中の楽しいわずかな瞬間「はきものをそろえる」という「ささやかなこと」に気づくインバウンド(外国人の観光客)はいるだろうか?

シューフィッター 大木金次
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2024年07月10日

高齢者の足と靴

連日の暑さに疲れておられる方も多いかと思います。
まだまだこれから夏本番です。
気温や湿度の状況をみて、運動もして欲しいと思います。
気候の変化も年々変わりますように、身体も変化していきます。
今までは、大丈夫であった色々な事も不安なことが出てきます。
一つは「ふらつき」です。
杖を使って歩かれるようになります。
まず、履いている靴を見直すことが良いように思いますが、杖を使う事が先になるようです。
高齢者施設などでは特にそのように見受けられます。
場所はどこであっても、「ふらつき」を感じ歩行や立っている時に不安を感じたら、靴と足を見て頂きたいと思います。
・安定感のある靴か?
・靴の底は減ってないか?
・体重の変化や靴下の厚みの変化で靴の中で足が動いていないか?
・靴が古くなっていて、アッパーが緩く伸びていないか?
・足に魚の目や胼胝はできていないか?

「ふらつき」には色んな原因があると思います。
何かの原因が発生した時に同時に足と靴も確認して欲しいのです。

今回はスリッパにフレアーをつけるという加工を致しました。
どこ履き物にもできる事ではありませんが、そういう事ができるのだということをご存知ない場合が多いです。
高齢になるにつれ、工夫が必要です。
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元のスリッパの状態よりも靴底が広くなっています。
転倒予防にも繋がります。

「ふらつき」の理由の一つに筋力の低下という場合もあるのですが、そんな時は運動をすることが必要です。
運動する為には、安定した状態を作ってないと怖くて歩くことすら難しくなります。
悪循環を防ぐ為にも足と靴の確認をしてみましょう。
高齢者にとって「運動」は「仕事」のようなものかもしれません。
筋力をつけることで、安心で安全な日常を送りたいものです。

シューフィッター 池川成子




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