2024年05月01日

悪魔のトリセツ No.163 楽なパンプスは…

「楽なパンブスが欲しい」と言われると、
困ってしまいます。
「らく」とは、「リラックスしている」という感じの意味でしょうね。
リラックスするとは、体の力をゆるめて、くつろいでいる状態でしょう。
パンプスは、その意味で、楽をするための靴ではないのです。

「楽なパンプスなんてありません」と答えると、がっかりしますか?

じつは、くつろいだ状態とはまた別に、
「楽」な状態があります。
自然と体幹に力がみなぎって、快くふるまえる状態も、「楽」です。

だから、「楽なパンプス」の答えは、
私にとって、ハイヒールです。

身長150センチ余りの私の好みは、8〜9センチくらいです。
お腹も背中も首も膝も気持ち良く伸び、快適に歩けます。
「楽しい」感覚もあります。

これは、下駄も、長靴も、適切に紐を締めた紐靴も、素足も靴下も素足も知ったからこその幸せだと思います。

だから、長時間はパンプスを着けません。立ち働きをするならハイヒールは着けません。

「楽なパンプス」を求める人は、もしかしたらいつもパンプスを履いていたり(あるいは、履かされていたり)、靴下やスニーカーの紐を適切に使わなかったりしているのかも知れません。
まだまだ、日本に、靴の文化が伝えられていないからだと思います。

それをお伝えするのは、靴と足について学んでいる、シューフィッターの使命のひとつだと思っています。

靴は優れた道具です。
けれど、日本で生活している皆さん、どうか、素足を手放さないでください。
そこにも、悪魔のトリセツがあるのです。

上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ ・ヨガインストラクター
   永田 聖子
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2024年05月05日

靴選び・・靴の持ち方に人柄がみえる

靴選びにおいて、靴の持ち方のポイントはできるだけアッパー(甲革)に触れないことです。
靴販売員は常に靴磨きをしていますが、それは靴のいたるところに触れられるため汚れているからです。 
そこで小生なりの靴の持ち方を記してみました。

☆靴をチョイス(靴選び)するときの持ち方。
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甲部の履き口に指を入れ取り上げてほしい。 手首を回すと360度から靴を見ることができる。 ヒモのない靴は次の写真のようにソール面を持つ。 ヒールのある靴は土踏まず部の底面に手を入れると持ちやすい。 

☆靴の内部をみるとき
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手の平にソール(底)面を乗せ靴の中までしっかり見てほしい。  
靴のソールは、お客様が何度も試し履きをされていますから汚れが付着していることが多い。 しかしそれでも販売員は写真のような持ち方をしながら説明をしています。 お客様も挑戦されると販売員から好感を持たれるようです。

☆革の品質をみるとき
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写真のような持ち方をすると靴の中以外、ソールを含めすべての革を、そして靴全体を見ることができる・・・靴の中に4本の指を入れ、目に近づけて見るとさらに毛穴まで見え、革の緻密もわかります。


✖イヤな持ち方
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販売員に嫌われやすい瞬間かもしれません。 実際店頭の靴を見ると、トウ(靴のつま先)に手あかがついていることが多いのが現実で、販売員泣かせと言ってもいい。 特にフォーマルやビジネスタイプの靴ほどトウ(つま先)の輝きが大事と言われている。

以上、持ち方にも関心をもって頂きたいのですが、中にはまったく無関心という方もいます。 
靴の持ち方は自宅でも実践願いたい・・靴箱からの取り出しや、脱いだ靴をしまうとき、また靴を磨くときなどです。 

今回のテーマのように「靴の持ち方に人柄がみえる」と小生は信じています。 そのような好ましい顧客が来店されると靴談義になり、ついつい話し込んでしまうことがあるのです。  

シューフィッター 大木金次
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2024年05月09日

高齢者の足と靴 「丁寧に歩く」

高齢者の方の転倒は相変わらず多いように思います。
歩く時に注意しているけど、ついうっかり転倒してしまったというお話を聞きます。
私は「ゆっくり歩いてください。」とお声かけすることが多々あります。
そんな時
「え! ゆっくりですか?」と不思議に思う方が多いのに驚きます。
多くの方が「速く歩く」「歩幅広く歩く」という事を目標にしておられるのです。
テレビや雑誌、いろんな所で、「速く歩く」「歩幅広く歩く」事を推奨されているからだと言うことです。

足の老化により速く歩く事が難しいのに、無理をすると歩く時に前傾姿勢になり上半身が前に出て足がついていってない方がいます。
多くのことを同時に考えることが不得手になってきます。
優先順位をつけるなら、「丁寧に歩く」事が一番ではないでしょうか。
足や脚だけの動きを考えるのではなく、身体全体の様子を知ることが必要です。
耳の聞こえにくい方や、肩や手に痛みのある方、目眩をすることがある方など高齢者の不調は増えてきます。
丁寧に歩いても、歩幅は程よく広くなります。
姿勢良く歩けば、速くないかもしれませんが、その方に適したスピードで歩く事ができます。
姿勢も長年の変形の部位もありますので、その方にとっての良い姿勢は、様々です。

今日は足の変形のある方の靴選びをしました。
速く歩こうと頑張っておられましたが、丁寧に歩く事をお勧めしました。
長距離を歩いた時は夜中に必ず、足がつるそうです。
足を労りつつ、綺麗に丁寧に歩いて欲しいと思いました。

シューフィッター 池川成子
posted by k-burogu at 23:57| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする