2024年02月01日

悪魔のトリセツ No.160 毎日靴を履くのなら

こんにちは。
お仕事用の靴は、とても大切ですね。
もしかしたら、寝ている時間より長く身に着けるかもしれません。

毎日の仕事で靴が傷みやすいから、なるべく低価格の靴を履き潰す作戦だと言う方もあることでしょう。
私もそうでした。できるだけ安い値段の靴を使い、傷んだら次の靴と履き替えていました。新しい靴は慣れるまで時間がかかります。少し傷んだ頃に履きやすくなるのですが、その後すぐにユルくなってきて歩きにくくなってしまいます。

その後、靴について学び、複数の靴をローテーションしながら、手入れをして使うと、意外と長持ちする上、いつでも履き馴染んだ靴を使えて快適だと知りました。
それにはやっぱり、革の靴が向いています。

革は少し汚れても傷んでも、手入れをすればある程度、補修ができます。

靴を休ませている間に、伸びた革が少し復元し、繰り返し強く引き伸ばされるところが復元しにくくなり、やがて身体の形に馴染んで、快適になってきます。
靴をローテーションさせることで、その快適な期間を長く保つことができます。

現役の頃、常時3足をローテーションしていました。
靴が長持ちすること以外に良いこともありました。
足が靴に負けにくいのです。
同じ靴を毎日のように履いていると、足が靴の形に影響を受けやすくなります。
自分本来の足の形をわすれてしまいそうになります。

もし今、毎日同じ形の靴を履いていらっしゃるなら、是非とももう一足、違う形の靴をローテーションしてみてください。
そして、趾(あしゆび)をのびのびさせて下さい。
そうすれば、良いことが、たくさんあるに違いありません。


上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ ・ヨガインストラクター
   永田 聖子

posted by kemix4 at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月05日

「わらぐつ」への想い  

ずいぶん以前のことですが、雪の深い米沢(山形県)では素足で「わらぐつ(下記の写真)」を履いたものです。 手を使わずに脱ぎ履きができ大変便利。 ただ冷え切った早朝などには足袋(たび)がほしくなる。 「わらぐつ」に足を入れ、カンジキをつけ村道まで雪を踏みしめ雪道を作るのが、早朝の子供の役割でした。 時には膝の高さを超える降雪に大汗をかきましたが、このとき足裏に「わらぐつ」の温かさを感じたものでした。  

足裏に藁(わら)の刺激が強すぎ、特に新しいものは瞬時に「わらぐつ」を脱いだことがありました。 ただ慣れてくると藁の感覚は穏やかになり、とてもいい感触が記憶として残っています。 
足の裏は感じすぎるほどの敏感さをもっている、それは子供だから? これは体験したからこそわかることですが、今思えば年齢問わず足裏は刺激を期待しているような気もします。

「わらぐつ」で足裏に汗を感じたという記憶はありません。 一生懸命雪を踏みしめていると足裏の汗を忘れてしまうのかも。 藁のもつ空洞に汗がしみこむ?のかもしれません。 軽くてぬれにくい藁ですが、カサカサと擦れる音が多少気になることがあったようです。
082 資料館 (20) 縮小せず 2.jpg


下記の「ウマのクツ」は米沢市とあり、資料館で拝見した瞬間非常ななつかしさを感じました。 資料の収集に米沢まで足を運ばれた学芸員の方、さぞかしご苦労されたのではないだろうか。 今のように新幹線もない時代、広島から米沢は遠すぎます。
DSC03437 資料館 (24)  縮小.JPG

2月下旬ごろから田んぼに降り積もった雪はどこまでも平らで表面がしまってきます。 そのようなシーズンになると田んぼに堆肥(たいひ)運びが始まります。 馬ぞり(ばぞり)に堆肥を乗せ馬に運ばせるのですが、そのとき活躍するのが写真の「ウマのクツ」です。 馬のアシの力は想像を超え相当なものですが、それでも「ウマのクツ」はアシから離れず持ちこたえます。  
雪に埋もれず堆肥を運ぶ馬は夕方になると背中にホウホウと大汗をかき西日に映えていました。

ウマに感謝・・・村には「馬頭観音様」を祀っています。  その観音様にお供えを持っていく、その役割が小生に回ってきます。 それほど馬を大事に大事にしていました。 ウマは家族同様で母屋と同居というお宅もあるほどです。

藁(わら)という漢字は、「木より高い草?」と勝手に解釈をしていますが、「わらぐつ」は大事なはきものでした。
【写真は二点とも,福山市 松永はきもの資料館(広島県 )に伺ったときのものです】

シューフィッター 大木金次




posted by シューフィッター at 00:00| Comment(0) | はきものと社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月10日

高齢者の足と靴  靴の価格

2月に入り、梅の花が咲いているのを見かけるようになりました。
春、待ち遠しいです。

ご夫婦で同じメーカーの靴を履いてくださっているお客様が久しぶりに来店されました。
修理して欲しいと来店されたのです。
できるだけ早くと言うのがご希望です。

IMG_8044.JPGIMG_8045.JPG

ご主人のは2本ベルト方です。


新しいのを購入するというのも良いのですが、馴染むまでに時間が掛かります。
お案じもので修理をして履くことを希望されいました。

IMG_8048.JPG

踵の内側が破れています。
内側は柔らかい皮ですので、破れやすいです。
ここも綺麗に新しい皮で修理します。



IMG_8043.JPG
この作業はかなりの時間が掛かります。
丁寧に優しく、根気よくするのです。





IMG_8042.JPG
少し状況が分かる写真です。
お客様がこの工程を知っておられる事は少ないですね。



踵だけの修理は何度もしています。
今回は、全部替えます。

IMG_8047.JPG
力が掛かった状態で靴を履いていると、通常より減るのも早く、靴の内側も痛みます。
靴底は勿論のことです。

自分自身の身体の重さだけでも大変になってくる高齢者ですが、家族の車椅子を押す必要がある時など、とても力が入ります。
そんな時もこの靴は出来る限りの安定感を発揮してくれているように思えます。
履いている方もその事を感じてくださっています。

どんな状況が、起こってくるか分かりませんので、自分の筋力アップ、歩行力も頑張って鍛えて欲しいと思います。
そして、必要な時には靴の力も借りて欲しいと思います。
靴の価格を考える時に、どのような力を発揮してくれる靴なのかを思ってみて欲しいのです。
自分の足と身体への効果を考えて靴選びをしましょう。

シューフィッター 池川成子









posted by k-burogu at 00:00| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする