毎月1日の「悪魔のトリセツ」、今回は、足と靴の一体感と、足に靴を留める仕様の関係についてお伝えしようと思います。
毎日暑い日が続き、どこへ出掛けるにも素足にビーチサンダルで過ごしてきましたが、ようやく日差しも和らぎ、久しぶりに紐靴を着けて歩きました。
そのときの気持ちは、
「やっぱり、紐靴が好き!」でした。
紐靴は、靴底を紐でしっかり足に留めておくと、足が上がる瞬間と靴底が上がる瞬間との間に時間差がありません。
足と靴の一体感が生まれるのです。
一方、ビーチサンダルなど、鼻緒の履き物は、足の趾の解放感に優れますが、歩くときに踵に靴底が遅れてついてくるので、脱げないよう、緊張感が生まれてしまいます。
紐靴は、足の土踏まず部分から後ろに靴が密着させる事ができるので、たとえ靴先の形状が広く大きい場合でも、一体感は変わりません。
しかも指先の解放感は、鼻緒の履き物と遜色なく歩けます。
ところでパンプスの場合も、長くてしっかりしたカウンター芯が踵回りに入っているものなら、足と靴の一体感はあります。
でも趾を締め付けるような靴先の形状にしたり、ハイヒールで足の裏に高低差を付けなくては気持ちよく歩けません。
甲のくりが大きく開いた履き物は、歩くときに勢いよく靴から飛び出そうとする足を引き留めるものがないので、代わりに足のどこか他の部分を使った仕様で靴を足に留めなくてはならないのです。
歩いている時の人の足の趾は、開いたり閉じたり、激しく動き回ります。
それは、不安定な縦長の身体で、二本足で歩く私たちには、とても大切な動きです。
足に靴底を留める部分に、踵と土踏まず付近や足首周りまで使うことで、趾の大切な働きを制限せずに済みます。
紐靴の仕様は、紐を適切に使うことで完成されます。
紐を充分に緩めて、
靴の入り口を大きく開けて、
靴べらを使って足を入れ、
足の踵を靴の踵の一番後ろまでしっかり合わせて、
足のくびれ(=土踏まず)に靴を巻き付けるようなイメージで紐を結んで完成です。
足と靴が一体になる気持ち良さを感じてください。
靴の着脱が頻繁な日本の生活スタイルですが、面倒がらずにやってみてください。
慣れれば簡単ですよ。
上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ 永田聖子