毎月1日は、「悪魔のトリセツ」アップの日です。
今年も、お正月の箱根駅伝では、手に汗を握る展開に、テレビから離れられなかった人も多かったのではないでしょうか。
ところが、このレースに使用された靴について、今、ちょっとした騒ぎになっているようです。
弾み過ぎる底のせいで、記録が出過ぎると言うのです。
人間の技能を競うはずが、靴の性能により、不公平になっているとか。
かつて世界を騒がせた、「エア・ジョーダン」で有名な、ナイキの靴だそうで、外から見てもわからないところに、特別な工夫がなされているようです。
それはさておき、パンプスにおいても、靴の性能は歩き方に影響します。
ハイヒールパンプスは、記録を出したり歩く速さを競ったりするものではありませんが、美しく歩く姿を作る土台です。
優れた機能の靴は、上体のブレを最小限に抑える機能が必要です。
見えないところに工夫がされているのです。
靴の踵周りには、カウンター芯が入っていますが、その長さが短いと、歩くと足が左右に踊ってしまって、歩みのコントロールが難しくなります。
歩く動きの中で、足は複雑な動きをしていて、靴の中で、踵は動き回るのです。
踵の上には足首があり、その更に上の身体もまた、捻れたりほどけたり、複雑な動きをしています。
踵は、その身体に繋がっています。
カウンター芯の長さは、どこまで踵のガードレールが延びているか、ということなのです。
柔らか過ぎても同じです。
強くて硬い骨が、身体の中の、比較的浅いところに、すぐにあるので、柔らか過ぎると踵の動きに負けてしまいます。
それから、靴の底の、土踏まず付近から後ろにかけて、がっちり硬いことも良い性能です。 地面の代わりに、常に足の裏をしっかり支える場所なので、ふにゃふにゃだと歩きにくいのです。
柔らかいお布団の上を歩くのが難しいのと似ています。
そして、最初で最後に大切なのは、フィッティングです。
例の凄いスニーカーも、サイズを合わせずに、ユルユルで履いてしまうと、「凄い」機能が台無しです。
パンプスも、サイズを測ってもらって、自分のサイズに一番近いものが、一番、機能を発揮できるのです。
近頃は、靴のサイズを測るサービスが充実してきつつあります。
靴を買う前に、足のサイズを測ってもらうことをおすすめします。
上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ- 永田聖子