令和2年、1月1日の「悪魔のトリセツ」は、ちょうど1並びの、連載No.111となりました。
さて、多くの日本人は、靴を履いていません。
不思議に思われますか?
確かに足に着けているのは靴ですが、靴の踵に足の踵をしっかり合わせて履くのが靴です。
多くの人が履いているのは、靴の形をした「ツッカケ」です。
私たち、鼻緒の文化の人ですもの、無理もありません。
家の中でも靴を脱がない文化の中で発達してきた履き物は、それに適した機能を備えています。
家では履き物を着けない私たちは、元々、着脱簡単な鼻緒の文化の生活様式ですが、西洋の靴を上手に応用して使っています。
しかし、本来の靴の使い方が伝わらないまま使っているので、間違った使い方に因る弊害も頻繁に見受けられます。
私たちは、せっかく鼻緒の文化に生まれ合わせたのに、「靴の形をしたツッカケ」しか知らないような世代になろうとしています。
靴の文化を、鼻緒の生活に取り入れた、言わばねじれた状態の文化のまま、強引に使い続けるのは、危険と言って良いでしょう。
この事実を知らない人は、靴を扱う仕事に従事する人の中にさえ、多くいます。
靴や足を勉強する環境にある人が、早くそれに気付き、靴のユーザーに伝えることは急務です。
折に触れ、このように発信する方法も、その務めの一つと考えています。
私たちは、幸いにも、靴を脱いで寛ぐ文化の元に居ます。
もし私たちが、優れた発明の1つである「靴」も使いこなす事ができたなら、次はそれを、世界中の靴文化にある人々に、新しい幸福な文化として発信することができるでしょう。
いつかそんな日が来ることを期待して、このブログを続けて行きたいと思います。
本年も、これからも、ずっと、よろしくお願い申し上げます。
みなさんの、健康とご多幸をお祈りしています。
上級シューフィッター・ウォーキングマスター・レザーソムリエ- 永田聖子